2022年3月6日
こんにちは!
小さなお子さんの骨折の診断が難しい話の続きです。
今まではいわるゆポキッと折れる骨折ではなく小さなお子さんに多い「ヒビ」について書いてきました。
ヒビもレントゲンではわかりにくいことも多いですが、頻度も多くある程度診断できます。
今回はレントゲンで分かりにくい骨折の最終、多分最高難易度の骨折です。
3歳の男の子。こけてからあまり歩かなくなった。
脚全体を痛いと言っている。腫れはない。レントゲンは上のようになって明らかな骨折線はない。
診察では脛骨(スネの骨)の真ん中からやや下で押すと男の子が嫌がるポイントがありました。
痛がるポイントをよく見ていると脛骨が曲がっているように思いました。
私は「急性可塑性変化」と診断してギプスの半分で固定しました。
2週間すれば脛骨の外側にだけ仮骨(骨折の治りかけの骨)ができてきました。
2週間ギプスの半分の固定で歩けるようになりました。
「急性可塑性変化」はポキッと折れない、ヒビも入らずに骨が曲がる現象です。
お子さんでも、骨が非常にやわらかく、しなりが大きい就学前の小さなお子さんに見られる非常に珍しい骨折です。
尺骨という肘の先の骨で起こることがほとんで脛骨では私は見たことも聞いたこともなかったです。
始めにレントゲンを見ても確信がなく、急性可塑性変化だと思うけど確証がないとはお母さんに説明して治療しました。
2週間目に仮骨ができて確定診断できました。
お子さんの骨折はこのように非常に診断の難しい骨折があるので注意しましょう!