2022年1月15日
こんにちは!
今回は二分脊椎、胸髄レベル麻痺のお子さん立位・歩行訓練についてです。
どんどんマニアックな内容になっていっています。
逆に本やネットに載っていない情報を私の私見をたっぷり加えて発信するのが目的ですので興味のある方は是非お読みください。
以前に書いたように胸髄レベルのお子さんは将来的な実用的な移動方法は車椅子になります。
(Sharrad分類 I群 髄節Tという部分に当てはまります)
腸腰筋という筋肉が働かないため脚を前に出すことが難しいです。
稀に長下肢装具で移動している方もいますが実用的という意味では車椅子になります。
無理に装具で歩行させていても結局移動能力という観点で良り早く楽に移動できる車椅子に特に就学するとなります。
「胸髄レベルのお子さんは将来歩かないので、立位・歩行訓練しなくて良い」
「将来歩かないの足部の変形もそんなに気にしなくてよい、足に装具つけなくて良い」
などの意見も実際に医師の先生から出ています。
本当でしょうか?
私の意見:ずりばいがうまくなってきたころから骨盤帯付長下肢装具をつけて立位訓練は必ずするべき!
まず立位訓練です。
こちらは私は絶対に必要だと思います。
体に体重をかける、体幹や脚に体重をかけることは成長段階で重要です。
体幹の筋力をつけるのは座位や床上の移動でも必要です。
腹圧を高めるためにも必要です。
脚は麻痺で動かなくても骨や関節に体重を成長期にかけておくことは重要です。
骨は体重をかけないと弱くなるだけでなく、成長期に体重をかけないと非常に細い骨になって大人になって骨折のリスクが非常に高くなります。
以上から立位訓練は必須だと思います。
そのままでは立位保持が難しいので骨盤帯付長下肢装具をつけて行います。
川村義肢さんかカタログから拝借
実際はもっと小さいお子さんにつけるのでかわいらしい装具です。
この装具をつけてご家庭でも立位の時間を取ることが重要です。
装具をつけると周りに机などを置いて倒れないようにすれば目を離しても大丈夫なので長時間立位できます。
お子さん自身も立位をすると視野が広がるので楽しくしてくれることが多いです。
視野からの感覚入力が増えて認知などの成長を促すという意味でも良いと思います。
次に歩行訓練です。
こちらは就学前は体も小さいので胸髄レベルのお子さんも骨盤帯付長下肢装具をつけると短距離は可能です。
やはりご両親の歩行への期待は非常に強いので私は歩行訓練も行って良いと思います。
ただし一部の施設では将来的な移動能力予測を告げずに一律に歩行訓練をひたすら勧める施設もあります。
正確な情報をご両親に説明してすべきだと思います。
歩行訓練は床上でのずりばいなどの移動と異なり視野からの感覚入力も大きく成長にも良い効果があるとも私は思っています。ya
立位歩行、歩行訓練はした方が良いですが、実情として小学校へ入りだすと学校で車椅子が中心となり
車椅子のウエイトが急に大きくなります。
その頃から装具をつけて立位や歩行することを嫌がるお子さんが増えて、小学校の内に立位、歩行をしなくなるお子さんが多いです。
その為にも就学前にしっかりと立位訓練、歩行訓練はしておいた方が良いと思います!
日本では歩行にこだわる傾向があると言われています。
移動という考えを持つことも大事です。歩行にこだわりすぎて移動能力を大きく損なうことはよくないです。
歩行、車椅子もともに移動になります。
無理やり歩行にこだわりお子さんの移動したいという気持ちを妨げることがないようにすることも大切だと思います。
なので、小さい時から立位・歩行訓練に加えて車椅子も早期に導入することも私は良いと思います。
身体障害者手帳で作成しますが、以前は3歳頃からと言われていましたが、最近では1歳代でも作成許可してくれる自治体もでてきました。
歩行だけでなく移動という観点で考えるようにご両親によく説明しています。
以上です。次は股関節脱臼についてです。
出典:ほとんど院長の経験と私見です