コラム

2022年1月9日

二分脊椎 脊髄髄膜瘤 胸髄レベル 内反足の話


こんにちは!

二分脊椎の続きです。

今回は主に脊髄髄膜瘤が胸髄レベル(腰の上の背中)にあるお子さんの話を書きます(Sharrad分類I群)

ただし腫瘍のある場所と麻痺レベルは必ずしもきっちりと一致せず少し麻痺が軽かったり、麻痺が強い時もあります。

前回書いた分類でもあるように胸髄レベルは麻痺レベルとしては一番強い方になります。

腸腰筋という股関節を曲げる(脚を前に出す)筋肉は第1腰髄が働かないとできないので、胸髄レベルのお子さんはしっかりと脚を前に振り出すことができません

分類にもあるように移動機能としては車椅子が中心になります。

 

脊髄髄膜瘤のお子さんは現在では胎児の状態で超音波で診断可能な場合が多いです。

早ければ妊娠20周より前に診断可能です。

帝王切開での出産後に脳神経外科の先生に髄膜瘤の切除と修復術、水頭症がある場合はシャントの作成の手術を早期に行われます。

背中の傷が落ち着いて仰臥位(仰向け)ができるようなれば整形外科の診断、治療が開始されます

 

胸髄レベルのお子さんは多くは生まれたときに内反足という状態で生まれます。

以前に書いた先天性内反足は原因不明ですが、二分脊椎のお子さんの内反足は足の筋肉の麻痺が原因と考えられています。

先天性内反足と状態は同じで指先が内向きで足首が硬くて指先が上に上がらないカチコチの状態です。

治療も同じでPonseti(ポンセッティ、ポンセチ法)によるギプス治療をしてアキレス腱の皮下切腱を行います

詳しくは先天性内反足のコラムを参照してください。

二分脊椎のお子さんと原因不明の先天性内反足の違いは一般的に内反(内向きの)の硬さが二分脊椎のお子さんは軽めで

外転(外向き)に矯正するギプスの回数が少ないです。通常5回以下で外転矯正はできることが多いです。

二分脊椎のお子さんはメインは尖足(指先が上にあがらない)です

初回治療終了後は外転装具ではなく一般的にシャーレ、シューホーンと呼ばれる装具を装着します。

足首を直角に保つ装具で基本夜間も含めて長時間装着します。

    川村義肢さんのHPから拝借

二分脊椎のお子さんは尖足がメインで尖足の再発が非常に多いためです。

足首の筋肉が働かないためそのままほっておくとすぐに尖足が再発します。

尖足が再発した場合はアキレス腱を切る手術を再度行う必要があります。

 

一部の先生に胸髄レベルのお子さんは将来も歩かないから足首の変形はほっておいて良いと言います。

よっぽどひどくなれば手術すれば良いと言います。

私は間違いだと思っています。

胸髄レベルのお子さんも将来は車椅子移動や家では「ずりばい」や「いざりばい」での移動が中心になりますが

小さなときは様々な理由で立位訓練は重要です。

さらに車椅子移動が中心になった際に、フットレスト(足置き場)にきれいに足が置けないと座位のバランスがわるくなり

お尻に褥瘡(床ずれ)が生じやすくなります

胸髄レベルの方は1日のほとんどの時間を座位で過ごすため、座位の臀部圧が均等(お尻が左右まっすぐにきれいにすわれる)であることが重要です

そのためシューホーン装具はずっと装着する装具になります。

 

就学しだすと外観も考えて学校では靴型装具も併用して使用することも私はお勧めしています。

7th seedさんのHpから拝借。

 

胸髄レベルのお子さんの足は足首が直角で地面やフットレストにしっかりと足がつくことが重要です!

 

以上足の話でした。

次は移動機能、立位・歩行訓練について、股関節脱臼の治療は必要かについて私の意見を書きます。

 

出典:院長の意見がだいぶ入っています。違う治療方針の先生もいます。

他の先生の治療が間違いというわけではなく、私個人の方針です。

医師やセラピスト、施設によって治療がバラバラです(この状態が問題だと思っています)。

 

 

 



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