2022年3月20日
こんにちは!
少し間が空きましたが、二分脊椎の続きです。
以前に胸髄レベルのお子さんについて書きました。
今回はその下の腰髄レベルについて書きます。長くなりそうなので特に第1,2腰髄について書きます。
腰髄は胸髄の下で腰髄には股関節、膝関節、足首を動かす筋肉の一部を支配しています。
以前にも書きましたが、Sharrad分類、Hoffer分類という実用的な歩行能力でわけた分類が有名です。
腰髄はL1-L5(LはLumbar:腰椎の略です)。
この表は腰髄から仙髄の支配している筋肉の様です。
第1,2腰髄では主に腸腰筋という股関節を曲げる、脚全体を振り出す筋肉が働きます。
第3,4腰髄では主に大腿四頭筋という膝を伸ばす筋肉が働きます。
第5腰髄では前脛骨筋という足首を上にあげる筋肉が働きます。
第1,2腰髄では脚全体が自分で振り出せますが、膝が伸びないので膝崩れ(体重が支えられずに膝がガクッとなる)します。
膝と足首は周りの筋肉が働かないのでぐらぐらの状態です。
歩行には長下肢装具が必要で、腸腰筋の筋力が弱いと骨盤帯付きの長下肢装具が必要です。
川村義肢さんのHpから拝借
脚全体を腸腰筋だけで振り出すので長距離歩行は難しく実用性歩行とはなりにくのが現状です。
装具がなければ膝崩れしてしまうため屋内でも装具なしでの歩行は難しいです。
短距離の手すりを使った歩行はできますがメインは車椅子となる場合が多いです。
腸腰筋以外の股関節周囲の筋肉が弱いため股関節脱臼が生じやすいです。
先天性股関節脱臼とことなり赤ちゃんの時ではなくしばらくしてから脱臼が生じます。
だいたい就学前に起こりますが、脱臼してもしばらく気づかないことが多いです。
外来では定期的に股関節の超音波やレントゲン検査をするようにします。
私は片側の股関節脱臼であれば手術を勧めますが、両側は勧めません。
このレベルのお子さんでは再脱臼のリスクが高いです。
足首も動かないので尖足が生じやすいです。生まれたときに内反足で生まれるお子さんもいます。
一度尖足を治しても再度尖足が生じることが多く、日中は常時装具を装着しています。
車椅子の時は短下肢装具をつけることが多いと思います。
私は個人的には小学校から中学校くらいで短下肢装具をやめて靴型装具に変更しています。
それほど硬く固定する必要もなく、外見も靴型装具の方がはるかに良いかからです。
7th seedさんのHpから拝借 (これらは装具としての靴です。足の変形を矯正、予防する装具です)
足首はフットレストにしっかりと足が置ける状態をキープする必要はあると思います。
変形すればその都度小さな手術で治療しています。
車椅子がメインだから、実用的な歩行しないから足首は尖足でも良いは間違っていると思っています。
第1,2腰髄は以上です。
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