2022年1月19日
こんにちは!
二分脊椎のお子さんの股関節脱臼の続きです。
再脱臼リスクの高い手術をすべきか?
腰髄レベルであれば床上での脚の動きも大きく、立位、装具歩行するため手術が良いと思います。
股関節周囲の筋肉も完全ではないですが、機能しているため再脱臼のリスクはそこまで高くないです。
胸髄レベルの方の股関節脱臼が非常に議論が分かれます。一番脱臼が多いのもやはり麻痺の強い胸髄レベルのお子さんです。
まだ日本国内で統一した意見はないと思います。
脱臼が片側だけの場合
手術するという意見が多い気がします。
脱臼が両側の場合
手術しないという意見が多い気がします。
では何故片側の場合は手術する意見が多いのでしょうか?
片側の股関節が脱臼していると臀部圧の左右差(おしりの形の左右差がでて座った時の左右のおしりの圧力に左右差がでる)が生じます。
二分脊椎の方は車椅子など1日の大半を座位で過ごすため、おしりや仙骨(おしりの少し上の骨)部分で床ずれ(褥瘡)ができやすくなります。
また股関節が脱臼すると脱臼している方の脚が短くなるため座った時の膝の位置もずれます。
こちらも座位の安定としてはやや良くないです。
両側の場合は何故手術しない意見が多いのでしょうか?
先ほどの片側と違い臀部圧の左右差ができにくい。両方とも脱臼していて左右対称で床ずれができにくい。
座位の左右の膝の位置もほぼ同じになります。
さらに片側でも脱臼のリスク高いのに、両側では両側とも再脱臼しない可能性はさらに低くなります。
胸髄レベルのお子さんでは再脱臼のリスクが高いため通常の関節を開けて脱臼を戻す手術だけでなく
骨盤の骨切りと筋肉の移行術も必要になります。
手術自体も大きくなるため両側では体へのダメージも大きくなります。
私個人的には胸髄レベルのお子さんで両側脱臼では手術を全くお勧めしておりません。
胸髄レベルの片側のお子さんはまずは様子見します。脱臼していない方の股関節も徐々に外れてくることが多いからです。
様子見しても片側の脱臼だけなら手術をお勧めします。
よくご家族の方から脱臼していると痛くなるのでは?
脱臼している脚を動かしたらよくないことが起こるのでは?
などの質問があります。
脱臼していても関節が固くなって太ももの骨が骨盤にあたって動きが悪くなった時だけ痛みがでます。
通常は脱臼していても痛みは生じません。
脱臼している脚を動かしても痛みもでないです。
逆に脱臼していてもしっかりと股関節を動かして柔らかくする必要があります。
関節が固くなると服の着替えなどがしにくくなったり骨折しやすくなったりと悪いことだらけです。
脱臼していても、特に普通に日常生活を送ってください。
股関節もよく動かして硬くならないようにしてください。
時折、脱臼しているからいろいろこの動作がだめという医療関係者がいますが、全く間違っていると思います。
逆にいろいろ制限して股関節が固くなる方が大問題です。
脱臼していてもしっかりと股関節を動かして硬くならないようにしてください!!
以上です