2021年8月23日
こんにちは!
今日は診療終了後に1人で久しぶりにベンチプレスしていて、セーフティーバーが低すぎて力尽きて体がバーベルに挟まれて死にかけました・・・。安全には気をつけましょう。
前回の続きの「ペルテス病」の治療編です。
ペルテス病は大腿骨頭の壊死(血が途絶える)ですが、約5年程度で完全に血の流れと骨は修復します。
特に発症後の2年位が壊死の影響が強く、大腿骨頭が潰れやすくなります。
修復の前に潰れてしまうと潰れた形で修復して、将来関節の軟骨が傷みやすくなります。
例えるなら家の骨組みだけ残して壁が壊死で一旦なくなります。その間に負担をかけると骨組みが変形します。
変形した骨組みは治せないので壁が修復してもいがんだ家になってしまいます。
ペルテス病の治療は壊死した大腿骨頭が構造的に弱くなっている約2年間にいかに負担をかけずに変形させないことが重要です。
上のイラストはContainment療法というペルテス病の治療の考え方のイラストです。
大腿骨頭は骨盤の屋根の下にいます。股関節を外転(横に広げる)ことでより骨頭部分が骨盤の屋根の下に入るため変形しにくくなるという理論です。
ペルテス病の治療は股関節を外転(脚を横に広げる)、体重をかけないを基本としています。
治療は装具と手術に大きく分かれます。初診時の骨頭の潰れ方や年齢で治療が選択されます。
私は主に7,8歳位までは装具治療が多く、それ以降は手術が多いです。
装具は以下のイラストのような装具になります。
一部は車いすも使いますが、基本的に股関節の外転+免荷(股関節に体重をかけない)装具です。
最近ではSPOC装具、Pogo-Stick装具、Trilateral Socket Hip Abduction装具などが使われています。
基本のコンセプトは大きくは同じです。
股関節を外転して体重は股関節ではなく坐骨(お尻の骨)で受けるようにします。
私の経験ではあまり大きなお子さんでは重心が高くなりこの装具で歩けないため8歳~10歳以上では装具治療はあまり行いませんでした。
手術治療は以下のような手術で、股関節を外転する代わりに骨を切って外転した状態にする手術です。
治療成績に関しては一般的に発症年齢が低いほどきれいに治ります。
8歳以上では治療成績が悪いことも多く手術治療がより行われています。
ただし低年齢でも診断された時点で大きく潰れていると治療成績が悪いと報告されています。
やはり早期に診断して、大腿骨頭が潰れる前に適切な治療を開始することが大切です。
装具治療は通常2年程度でその後徐々に運動復帰します。
私は装具治療2年、スポーツ復帰2年半程度が多かったです。
皆さん元気なので装具外したら勝手に走り回ってお子さんも多かったですが・・・。
治療編は以上です!