2024年9月1日
こんにちは!
悪性骨腫瘍で最も頻度の高い骨肉腫の続きです。
今回は治療です。
治療の基本は化学療法と手術です。
以前に比べて格段に治療が良くなっています。
現在は5年生存率は70-80%と言われています。
化学療法は以前は行われずに手術だけが行われていましたが、再発や遠隔転移が多く治療成績が非常に悪かったです。
メトトレキサート(MTX)、ドキソルビシン(DOX)、シスプラチン(CDDP)を組み合わせたMAP療法が開発され現在ではさらに他の薬剤を加えた化学療法がおこなわれています。
化学療法は手術前後に行い、手術で取り切れない微小な肉腫の細胞や遠隔転移を防いだり、遠隔転移部の腫瘍を縮小させます。
手術前後に数クールの化学療法を行うため数か月の入院は必要です。
骨肉腫では遠隔転移として肺に転移することが多いです。
局所の再発よりも遠隔転移が生命予後に大きくかかわります。
診断された際に肺転移がなくても、微小な肉腫の細胞が全身や肺周囲にある場合があります。
以前は手術で手足の切断術が多く行われて確実に局所の腫瘍は切除できていましたが、微小な細胞が全身に回って残っているため化学療法で微小な細胞をやっつけないと再発や遠隔転移が起こると言われています。
骨肉腫の生存率が非常に改善したのは化学療法の進歩による部分が大きいです。
整形外科領域の腫瘍では骨肉腫の化学療法は比較的効果のでやすいものです。
骨肉腫の化学療法は比較的量も多く、髪が抜けたり、体調不良なども起こりつらいものですが非常に効果的で重要な治療です。
次は手術、単なる切断から患肢温存手術への変遷について書きます。