2024年8月31日
こんにちは!
骨腫瘍の続きです。
今回は骨の悪性腫瘍で最も有名な骨肉腫について書きます。
脚を痛がっているお子さんの診療をしているとよくご両親から「骨肉腫じゃないですか?ネット見たら心配になって」とよく言われます。
そもそも肉腫とは骨や軟部組織(皮下組織やお肉の部分)にできる悪性腫瘍のことです。
癌と混同されますが、癌は上皮性組織から発生した悪性腫瘍 主に内蔵の悪性腫瘍を指します。
肉腫はそれ以外の組織から発生した悪性腫瘍です。
骨肉腫とは読んで字の如く骨から発生した悪性腫瘍という意味です。
骨肉腫は悪性の骨腫瘍では最も頻度が高く、10代のお子さんに起こりやすいです。
約3割程度は40歳以降の成人でも起こります。
悪性の骨腫瘍で最も多いと書きましたが、悪性骨腫瘍自体が稀なもので日本で骨肉腫の患者さんは年に200-300人程度で決して多くはないです。
発生する部位は膝の周囲(大腿骨の下の方か脛骨の上の方)が最も多く6割程度です。
次いで肩(上腕骨の上の方)、股関節(大腿骨の上の方)に見られます。
症状は腫瘍のある部分の痛みや腫れです。
ただし初期は強い痛みではなく、普通に歩いたり運動もしているお子さんが多いです。
多くの患者さんは歩いて膝の痛みで受診されることが多いです。
ある程度進行すると軽微なケガで骨折(病的骨折)することもあります。
診断はレントゲンで診断可能ですが、初期ではMRIが有用です。
Skeletal Radiol.2018より引用
レントゲンでは骨の表面の骨膜が膨れたり不整な状態になったり、骨が一部溶けたような画像になります。
ただし初期ではレントゲンの反応は非常に軽微で診断が困難な場合があります。
MRIではレントゲン以上に腫瘍の所見が表れているため有効です。
初期にはレントゲンで異状なくても痛みが続くときはMRI検査することが重要です。
次に続きます。