コラム

2024年6月1日

骨系統疾患 軟骨無形成症 その9 低身長 ボソリチド 骨延長は要らなくなる?


こんにちは!

軟骨無形成症の続きです。

前回CNP類似体治療 ボソリチド、商品名ボックスゾゴについて書きました。

 

軟骨無形成症の原因となるFGF-R3の異常信号を抑える非常に理にかなった有効的な治療だと思います。

ボックスゾゴは日本では2022年とつい最近に保険適応された薬です。

1日1回自己注射します。

2歳以下のお子さんにも保険適応があり、骨端線閉鎖前の成長期のお子さんに適応があります。

欧米でも2021年に正式に承認を得た薬のため長期成績は確立していません。

 

薬の発売前の治験という臨床試験でのデータなのでそれほど多くのお子さんのデータは未だありません。

Lance 2023から引用

上図のAは健常時へのCNP類似体の投与によりAGV(Annualized growth velocity:年間成長速度)がプラセボ(placebo: 薬ないグループ)よりも量によっては多くなっています。

Bは軟骨無形成のお子さんに投与するとさらに身長の伸びが大きく促進されてたというグラフです。

このように軟骨無形成症のお子さんではCNP類似体の投与で身長の伸びがよくなることが報告されています。

 

ただし比較的新しい薬のため最終的な身長がどれ位になるか? 個人はどれくらいあるか

投与開始年齢による差などは今後の調査で明らかになると思います。

 

ボソリチドは自己注射が必要ですが、大きな副作用も少なく軟骨無形成症のお子さんには画期的な薬だと思います。

ただし骨延長が不要になるかというとわからず、おそらく一定数は今後も必要だと個人的には思っています

 

私見ですが成長ホルモンが少なくない軟骨無形成症のお子さんには成長ホルモン補充療法はしないよりした方が少し背が伸びる薬的なイメージです。

ボソリチド、ボックスゾゴは軟骨無形成の原因となる部分に関係する薬でありより効果的な薬なので今後の色々なデータに期待できる薬だと思います。

 



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