2024年6月1日
こんにちは!
軟骨無形成症の続きです。
前回低身長に対する薬物治療について書きました。
今回はその中でもCNP類似体治療、ボソリチド、商品名ボックスゾゴについて書きます。
CNPとはヒトC型ナトリウム利尿ペプチド(C-type natriuretic peptide;CNP)というペプチド(アミノ酸の集合体)です。
心不全などで調べられる血液検査項目のBNPの親せきです。
BNPは心臓に分布するのに対してCNPは血管や骨に存在します。
CNPはFGF-R3(線維芽細胞増殖因子受容体3)の過剰な信号を抑制することが分かっています。
軟骨無形成症の主な遺伝子異常はFGF-R3の異常です。
FGFR3は軟骨細胞の増殖に対し抑制的に作用します。
軟骨無形成症ではFGF-R3の信号が異常に興奮した状態で、軟骨の分化が異常になり内軟骨性骨化という軟骨から骨に成長する段階の異常が見られます。
そのため骨や軟骨の形成に異常が見られる疾患です。
そのためCNPは軟骨無形成症の大元の原因となるFGF-R3の信号を抑えるため非常に有効です。
ボソリチドはこのCNPに似た構造の薬で体内に投与することでCNPと同じ作用をもたらします。
それにより骨、軟骨形成が促進され低身長にも有効とされています。
成長ホルモンの補充療法に比べるとボソリチドは病気の原因となる部分に働く非常に理にかなった薬と言えます。
長くなってきたので次に続きます。