2024年5月19日
こんにちは!
軟骨無形成症の続きです。
前回軟骨無形成症の特徴について書きました。
その中で脊柱管狭窄症があると書きました。
詳しくは大後頭孔狭窄と背中の脊柱管狭窄症の2つに分けられます。
大後頭孔狭窄は頭蓋骨の一番下の大後頭孔という頚髄(首の神経)との脳のつなぎ目のスペースが狭くなり神経が圧迫される状態です。
Orphanet Jornal of Rare Disease 2019より引用
大後頭孔狭窄は他の病気や健常な方にはあまり見られず軟骨無形成症のお子さんに特徴的な状態です。
軟骨無形成症では軟骨から骨ができる過程に異常があるため頭蓋骨の後頭骨の形の異常が見られます。
症状は、脊髄の圧迫によるものです。
一般的な頸椎ヘルニアなどの首が悪い方は頚髄の真ん中より下で起こり症状は手足のしびれや動かしにくさですが、大後頭孔狭窄は脊髄のもっと上の脳に近い方なので症状は異なります。
上図:典型的な頸椎ヘルニア
症状として脊髄症、睡眠時無呼吸、呼吸障害、水頭症があります。場合により突然死の原因にもなります。
脊髄症とは頸椎椎間板ヘルニアと同じ頚髄の圧迫による症状で手足のしびれや動かしにくさがでます。
大後頭孔狭窄ではより首の上で起こるため手足の通常より強く動かしにくさがでます。
さらに頚髄の上の方の神経は呼吸する筋肉も制御してるため、大後頭孔狭窄では呼吸の悪化が見られます。
また脳と脊髄の境界で狭窄がみられるため水頭症という脳の水(髄液)が脳に通常よりたまり脳が圧迫される水頭症も見られることがあります。
このように大後頭孔狭窄では通常の首の神経の狭窄に比べて症状が重篤で、特に呼吸障害では突然死の原因になることもあります。
狭窄の程度は個人差があり、狭窄が強いと手術が必要になります。
手術になる頻度はそれほど高くなく、6-13%のお子さんで手術が行われるていると報告されています。
手術は大後頭孔減圧術です。
後頭骨の骨を一部削って神経の通り道を広げる手術で、一般的に整形外科ではなく脳神経外科の先生が手術を行います。
多くのお子さんで大後頭孔狭窄は見られますが、ほとんどは経過観察で済んでいます。
ただし狭窄が強いと症状が重篤のためMRIなどの定期診察は重要です。