コラム

2024年7月15日

骨系統疾患 ムコ多糖症 I型 ハーラー症候群・シャイエ症候群


こんにちは!

骨系統疾患の続き、ムコ多糖症です。

前回ムコ多糖症は7型に分類され、多彩な症状があると書きました。

今回はムコ多糖症I型について書きます。

 

ムコ多糖症I型はα-L-イズロニダーゼという分解酵素の不足で起こります。

デルマタン硫酸とヘパラン硫酸というムコ多糖が蓄積するために全身の障害が見られます。

発生頻度は10万人以上に1人の稀な病気で日本で100人以下の報告です。

 

診断は血液検査でα-L-イズロニダーゼ 分解酵素の測定や尿中のムコ多糖測定でされます。

 

I型は重症度によりさらに3つに分類されます。

重症:ハーラー症候群

軽症:シャイエ症候群

中間型:ハーラー・シャイエ症候群

 

軽症のシャイエ症候群は軽症で、診断も通常就学前後で見つかります。

知的障害はほとんどなく、成人して通常の生活をおくっていることが多いです。

 

重症のハーラー症候群は通常赤ちゃんから乳児期に診断されます。

症状は特徴的な顔貌、骨・関節の変形、肝臓・脾臓の腫大が見られます。

発達の遅れも通常みられ、低身長や心臓の弁の異常、中耳炎、ヘルニア(鼠経、臍)角

膜混濁なども見られます。

大きな頭、前額の突出、巨舌という特徴的な顔貌が見られ、体中にある大きな蒙古斑も特徴です。

MDPI. 2010から引用

特徴的な顔貌 手足の関節の肩さ 臍ヘルニア 骨の変形が見られる

 

角膜混濁はムコ多糖症I型に特徴的と言われています。

 

重症型では無治療では10歳前後で死亡すると報告されています。

近年では酵素補充療法がおこなわれています。

非常に珍しい病気なので私も多くのお子さんを見たわけではないですが、整形外科的には手足の関節の硬さを改善するリハビリを行います。

 

酵素補充療法については後で書きます。

以上ムコ多糖症I型でした。

 

 

 



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