2024年8月4日
こんにちは!
整形外科でも数少ない緊急事態、緊急手術が必要な化膿性関節炎について書きました。
緊急事態である理由は関節に感染がおこると関節の軟骨や骨が大きなダメージを受けます。
感染の時間が長いほどダメージが大きくなるため、早急に手術で洗って細菌の量を減らして抗生物質で完全に沈静化することが重要です。
膝や足首の感染なら比較的体表に赤身や腫れがでるため診断は容易です。
一方で赤ちゃんに多い股関節は関節が深い場所にあるため体表の腫れなどはわかりにくいことが多いです。
さらに赤ちゃんは自分で痛い場所を言えないため、気づくのに遅れることがあります。
新生児で他の病気も伴って発熱しているときは関節炎に気づかれずに抗生物質の点滴だけで治療されて感染が収まるまでに時間がかかりすぎることも多いです。
手術などの治療が遅れると関節周囲の骨や軟骨へのダメージが大きくなり、後遺症が生じます。
化膿性関節炎後の後遺症は非常に重篤でお子さんの場合は成長障害、関節変形が強く起こります。
Global Orthopedics 2014より引用
上図の様に関節部の骨が大きな変形と骨端軟骨(成長線)もダメージを受けるため成長とともに変形も増悪します。
関節の軟骨は感染で強いダメージを受けると再生できません。
現在の治療では関節の再生は困難で化膿性関節炎後の関節軟骨自体の変形は治療困難です。
Orthopedic Research and Reviewから引用
骨端軟骨へのダメージは関節の変形だけでなく脚全体の変形(O脚、X脚)や脚長差も大きく出現します。
このように化膿性関節炎後の後遺症は非常に重篤で、治療困難な場合も多いです。
そのため化膿性関節炎は早期に診断して適切な治療・早期の手術が必要です!