2024年7月31日
こんにちは!
前回お子さんの緊急事態である化膿性関節炎について書きました。
お子さんは関節周囲に血液が停滞する場所があるため成人よりも化膿性関節炎が起こりやすいです。
0歳の赤ちゃんでも起こり、赤ちゃんでは股関節、乳幼児では膝や足関節も起こります。
膝や足関節の化膿性関節炎は外観で赤く腫れて熱もあるためわかりやすいですが、赤ちゃんの股関節では診断が遅れることがあります。
診断はMRIでほぼ確定できますが、お子さんでは薬で寝かさないとMRIが撮影できません。
薬によって呼吸が止まるなどのリスクもあるため気軽にMRIをできないことが多いです。
赤ちゃんであれば股関節の超音波を行って関節液のたまりを確認して、血液検査で感染の兆候があればMRI撮影するという流れが多いです。
通常体温も39度や40度以上の高熱を出している場合が多いです。
治療は緊急に手術を行う必要があります。
そのまま放置すると敗血症という血液に細菌が充満して命の危機になります。
抗生物質の点滴でも感染は沈静化できる場合もありますが、感染が収まるのに数日~1週間程度の時間を要します。
感染が持続すると関節の軟骨などの組織が炎症で痛んでしまいます。
化膿性関節炎の場合はなるべく早く感染を沈静化しないと関節が痛んで後遺症が残ってしまいます。
そのため手術で関節を開けて大量の水で洗って細菌をできるだけ除去します。
細菌では関節鏡とういう内視鏡で小さな傷で行う手術もあります(赤ちゃんでは関節鏡は難しいです)。
手術である程度細菌を物理的に減らした後に抗生物質の点滴で残った細菌を完全にやっつける治療です。
化膿性関節炎はお子さんの整形外科では少ない緊急治療の必要な病気です。
緊急に治療しないと重い後遺症が残ってしまうため的確な診断と適切治療手順が必要です。
とりあえず様子見るでは済まない病気です。
次に化膿性関節炎の後遺症について書きます。