2022年10月2日
こんにちは!
大腿骨頭すべり症の続きです。
急性型は歩けないので見逃されは少ないですが、歩ける慢性型は見逃されることが多いと書きました。
原因はレントゲンでの診断が難しいためです。
分かりますでしょうか?
大腿骨頭すべり症の患者さんの正面のレントゲンです。
小児整形外科を専門にしている医師ではわかると思いますが、一般整形外科の医師では診断難しいと思います。
方向を変えたレントゲンです。
大腿骨頭(大腿骨の先端の丸い部分)の付け根の成長軟骨(骨が成長する部分、レントゲンでは軟骨なので黒く抜けます)
より先の丸い部分がずれています。
正面のレントゲンでもわかりますが、横から見た方がより分かります。
レントゲンでもだいたいわかりますがすべりが少ないお子さんでは確定診断が難しいこともあります。
通常大腿骨頭すべり症を疑えばCT検査を行います。
左は断面図、右は3DのCT画像です。
大腿骨頭の先端の丸い部分が後方(お尻の方)にすべっていることが確認できます。
大腿骨頭すべり症は比較的珍しい病気で実際の患者を診たことがない整形外科医が多いと思います。
そのためレントゲンで大腿骨頭すべり症を疑えないことが多々あります。
さらにCT検査は放射線を多めに使用するため、お子さんには気軽にしにくい検査のため余計に診断が遅れます。
大腿骨頭すべり症は急性型、慢性型も早期に診断して治療が必要です。
治療が遅れると後遺症を残すことが多く注意が必要です。
残念ながら早期に診断がつかないお子さんも何人も見てきました。
次回は大腿骨頭すべり症の治療について書きます。