2022年10月9日
こんにちは!
数少ない緊急性の高い大腿骨頭すべり症の治療について書きます。
治療は基本的にはすべりが酷くなる前にネジ(スクリュー)で固定することです。
全身麻酔で現状の状態で固定します(in situ pinningと言います、現状の状態で固定する)。
大腿骨頭すべり症は急に歩けなくなる急性型、歩けるが痛みが続く慢性型があると書きました。
急性型は緊急手術します。
慢性型は診断されればまず松葉杖にして体重をかけないようにします。
慢性型も経過中に急にすべりが増大して急性型に変化することがあります。
そのため慢性型も急性型になる前に比較的早期に手術して固定します。
大腿骨頭すべり症一番の合併症は大腿骨頭壊死です。
大腿骨頭壊死は大腿骨頭(大腿骨の先端)の血の巡りが途絶えて壊死(縮んで変形する)することです。
Cureus. 2020から引用
診断が遅れてすべりが酷くなったり、手術ですべりを元に戻そうとしても大腿骨頭壊死が生じます。
大腿骨頭には栄養する血管がありますが、すべりや元に戻す操作で血流が途絶えるのが原因と言われています。
そのため手術でもすべりを多く戻す操作はまりしません。とくgentleに整復すると言っています。
すべったままの状態で固定するため、すべりが進行する前の早期診断が非常に重要です。
あまりすべって変形して固定すると大腿骨頭の形がいびつになって関節がうまく動かない
FAI (Femoroacetabular Impingement)という状態になってしまいます。
また大腿骨頭壊死が生じると将来に変形性関節症(軟骨がすり減る)になる確率が高くなります。
このような合併症を起こさないために大腿骨頭すべり症は早期診断が重要です。
歩けている慢性型も急性化することもあるため早期に診断して治療が必要です!