コラム

2024年3月10日

脳性麻痺について 治療 その13 装具 補装具


こんにちは!

脳性麻痺の治療の続きです。

治療の目的は運動機能を高めることが主体になります。

 

治療内容としては以下に分けられます。

・薬

・リハビリ

・装具

・手術

 

今回は装具、補装具について書きます。

補装具はとは健康保険で作成する治療用装具と異なり日常生活で使うための生活用装具で主に身体障害者手帳を使用して作成します。

 

ただし治療用装具も初回は必ず健康保険を使用しますが、同じものを繰り返し作成する際は身体障害者手帳を使って作成可能です。

 

脳性麻痺の方の補装具としては以下があります。

・椅子・座位保持装置

・バギー・車イス

・立位台・プローンボード

・歩行器

 

椅子・座位保持装置は単独で座位が取れないお子さんに使用します。

 

左:バンビーナチェア 右:パンダ(小児用座位保持装置)

 

座位のとれる状況でパーツやベルトの数が変化します。

 

バギー・車イスは歩けないお子さんに使われます。

小さいときは自分で車イスを操作できないのでバギーが中心で自分で操作できるお子さんは車イスになっていきます。

   

左:バギー (RVポケット)、中央:車イス、右:電動車イス

 

車イスは自分でこげる人は自走型、自分でこげないがスティックの操作ができる人は電動車イスが使われます。

一般的に電動車イスは下肢の障害だけでなく身体障害者手帳で上肢の障害がある方が認められています。

 

立位台・プローンボード

立位が自分で取れないお子さんや脳性麻痺のお子さんで体の関節が屈曲が強いお子さんに特にプローンボードが使われます。

プローンボード:Bee Prone

 

プローンボードのプローンとは腹臥位(うつぶせ)という意味です。

まっぐ立つのではなくやや前に傾斜していてうつぶせからおこしてきた状態をつくる台です。

脳性麻痺のお子さんでは特に股関節や膝が曲がった状態が多いです。

通常人は仰向けでは関節は曲がりやすく、うつぶせでは関節は伸びやすくなります。

脳性麻痺のお子さんの屈曲しがちな関節を伸ばすためにプローンボードに1日の一定時間乗ってもらいます。

緊張も緩和されやすく、勉強時間や食事の時間に1時間程度プローンボードを使うことが多いです。

 

歩行器

自分で歩けないお子さんに使います。

歩く練習や歩く・移動するという感覚入力目的で使われます。

 

左:PCW 右:SRCウォーカー(有薗製作所さんHPから拝借)

色々な歩行器がありますがPCW(Posture Control Walker:姿勢調節歩行器)とSRC(Sponetaneous Reaction Control:自発性反応調節)ウォーカーが有名です。

ある程度姿勢をとれるお子さんはPCWを用いて、より体幹や頸部のサポートを要するお子さんにはSRCウォーカーが使われます。

歩行器自体は歩くための筋力をつけるという意味合いだけでなく、歩く・移動するという感覚入力という大切な役目があります。

お子さんに床上のずりばいなどの移動だけでなく、起き上がった視界の良い状態での移動を体験してもらい刺激する役割があります。

 

補装具の説明は以上で、次回に制度・自己負担について書きます。

 

 



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