コラム

2026年2月15日

脊髄筋委縮症 その3 報道された何千万、億単位の治療薬

こんにちは!

非常に稀な病気の脊髄筋委縮(SMA)の続きです。

前回重症型から軽症型、成人型と色々な病気による種類があると書きました。

今回は治療薬について書きます。

以前は治療薬が存在せずに、リハビリや装具のみが治療でした。

日本では2017年に初めて新しい治療薬が発売され、その後3つの製品が発売されてます。

この10年で続けて新薬が開発、販売されています。

一方でその治療薬の高額な点が注目されて何度もテレビなどで報道されてご存じの方もいると思います。

治療薬はすべて脊髄筋委縮症の原因となる遺伝子に作用します。

原因となる神経細胞に作用するSMN遺伝子の機能を補い神経に作用するたんぱく質の産生を助ける薬です。

原因となる部分に作用する薬であり、治療効果もある程度高いものと報告されています。

運動機能の改善だけでなく、呼吸障害の改善も報告されています。

一方で治療薬は高額で1億円を越えるものや年に数千万円程度かかるものがあります。

あまりの高額な点で発売時にはテレビでよく報道されましたが、他に治療薬がなく重症なお子さんには生命予後を改善する貴重な薬です。

はじめに発売されたのはスピランザ髄注(ヌシネルセンナトリウム)です。

髄注というのは脊髄の管に直接入れる薬で背中に深く針を刺して背骨の中の脊髄の管に薬を入れます

初回投与後に4-6か月毎に投与が必要で、毎回背中に針を刺す必要があります。

費用は初年度5000万円程度、次年度以降2~3000万円程度の薬代です。

次に発売されたのはゾルゲンスマ(オナセムノゲン アベパルボベク)という薬で点滴で静脈注射します。

2歳未満のお子さんが適応1回のみの投与です。

費用は1億6000万円以上します。

この薬が発売された時もかなり報道されました。しかし1回投与のみなので費用としては前に発売されたスピランザより高額ということはないと思います。

 

最後に発売されたのはエブリスディ(リスジプラム)という飲み薬(ドライシロップか錠剤)です。

1日1回内服します。

体重により内服量は異なりますが、成人や大きくなったお子さんに使われる錠剤では1錠7万3千円です。1か月だとだいたい22万円、年に260万円程度になります。

 

どのように薬を選んでいるかですが、重症型、中間型では赤ちゃんの時期にスピランザまたはゾルゲンスマを投与されることが多いです。

成人型ではエブリスディが使われることが多いようです。

 

スピランザ、ゾルゲンスマの投与で運動機能改善だけでなく、呼吸障害改善による生命予後改善も見られています。

非常に有効な薬であり、早期発見、早期治療が有効とされています。

 

治療薬が高額で何度も報道されましたが、脊髄筋委縮症の患者さん全体で2017年で1478人と報告されています。

すべての年齢全体で1478人であり、そのうちスピランザやゾルゲンスマの対象となるのはごく一部です。

1人あたりの治療費は高くなりますが、生命予後も改善する画期的な薬です。

製薬会社も薬を開発する費用の回収も必要で、対象患者さんがすくないと薬は必ず高額になります。

むしろよく開発してくれたという感じに私は思います。

昔からある風邪などに不必要に処方され続けている抗生物質なども総額にするとかなりの金額になります。

そのような無駄使いをまずなくして、このような有意義な治療薬が認知、使いやすくなれば良いと思います。

 

以上脊髄筋委縮症でした。

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