2025年10月12日
こんにちは!
筋ジストロフィーの1つ、デュシェンヌ型の続きです。
前回整形外科では尖足や車椅子の治療と側弯の治療を行うことが多いと書きました。
今回は側弯について書きます。
JBJS.2007から引用
デュシェンヌ型の側弯は前に書いた健常者の特発性側弯とはかなり異なるものです。
通常の側弯は骨自体が曲がってくるのですが、デュシェンヌ型の側弯は周りの筋肉が低下して背骨がまっすぐ保てなくなります。
通常の側弯は骨の変形で硬めに対して、デュシェンヌ型の側弯は柔らかくて寝ているときよりも座ると体重を支えられなくなり非常に曲がります。
側弯の角度も10歳過ぎから徐々に悪化して、特発性側弯よりも進行するスピードは速いです。
治療は多くの場合に手術が行われます。
手術は他の側弯と同じで金属で背中の骨を固定します。
デュシェンヌ型の側弯に関しては他の側弯と異なる点があります。
・手術は側弯の角度よりも自分で座れなくなってきたら検討する
・装具などで必要以上に手術のタイミングを遅らせないほうが良い
デュシェンヌ型の側弯の目的は背骨がまがって座れないことを治すことです。
角度よりも座位の保持ができなくなれば手術を検討するタイミングです。
近年ではプレーリーくんなどの側弯装具もあり、座位が崩れてきた時点で装具を作られる場合もあります。
装具があれば座位が保てるからという理由で側弯の手術をためらったり、時期を過度に伸ばすべきではないです。
側弯が軽い時は装具で座位が保てますが、筋力低下が進んで側弯が進むと装具では難しくなります。
デュシェンヌ型の筋ジストロフィーのお子さんは側弯の進行する時期と呼吸の筋力の低下する時期が重なります。
車椅子中心で走ったりしないため普段の生活ではわかりにくいですが、呼吸の筋力が進行性に弱くなり肺活量なども低下しています。
あまり呼吸の筋力が低下すると側弯の手術のリスクが非常に高くなります。
側弯の手術は通常の手術よりも大きな手術で、あまり呼吸の力が弱いと生命の危機のリスクがあります。
そのためデュシェンヌ型の側弯の手術タイミングは呼吸機能も考慮して検討する必要があります。
側弯が出始めた時点で手術をする病院で定期的に受診されて手術タイミングを検討する方が良いと思います。
必要以上に手術を怖がらずに適切な時期に側弯の手術は受けた方が良いと思います。
手術しないと普通に座れなくなります。
以上デュシェンヌ型の側弯についてでした。