2022年8月28日
こんにちは!
今回は乳幼児の発達の遅れの中でも歩かない、未歩行について書きます。
何らかの疾患があるお子さんではなく小児科で何も指摘されていないお子さんの話をします。
一般的に伝い歩き1歳頃、ひとり歩き(独歩)は1歳半頃までに可能になると言われています。
最近では1歳前にひとり歩きするお子さんも多く歩き始めの早いお子さんが多い印象です。
日本では1歳6か月で保健センターでの乳幼児健診が行われています。
その時点でひとり歩きできていないと病院、診療所受診を指示されることが多いです。
私は今まで健診から受診された多くの1歳6か月で歩かない多くのお子さんを診てきました。
では1歳6か月でひとり歩きできない場合に何が原因と考えられるでしょうか?
1.単純に発達がゆっくり
2.筋力が弱い病気
3.発達障害
1.単純に発達がゆっくりのお子さんもおられます。
2歳までにはひとり歩きしています。ある日突然歩き出すことが多かったです。
1歳6か月という年齢の基準はほとんどのお子さんが1歳6か月までに歩くことから設定されています。
中にはのんびりさんもいます。
2.筋力が弱い病気
実際は1歳6か月時点で判明する筋力が弱い病気は少ないと思います。
生まれた時や首のすわりが遅かったりして生後6か月前に何らか指摘されることが多いです。
筋肉の病気のミオパチーや神経・麻痺がある病気が該当します。
以前に書いた潜在性二分脊椎なども該当しますが、1歳6か月より前に脚の動きが悪くて受診していると思います。
元気に生まれていても実はの生まれたときに脳梗塞があって少し足の動きが悪いお子さんもいます。
ただしひとり歩きが遅れるほどの麻痺はもう少し早く診断されていると思います。
麻痺疾患のお子さんの特徴は脚の関節に硬さがあることだと思います。
赤ちゃんは普通は関節ぐにゃぐにゃなのに硬い関節があれば何らかの疾患があると思って良いです。
3.発達障害
広汎性発達障害とも呼ばれています。
1歳6か月で歩かない、1語もしゃべらないなどが初めに判明する症状のお子さんも多いです。
ただし1歳6か月時点で歩かなくて広汎性発達障害と診断することはまず不可能です。
通常3歳頃にならないと診断はできないと思います。
広汎性発達障害については今後別で書きます。
実際は1のゆっくりさんと3の発達障害のお子さんが私の経験の中での印象では半々位でしょうか。
現在は発達障害の内容がインターネットなどで氾濫しているため多くのご両親が心配されます。
1歳6か月時点でほとんどのお子さんの明確な診断は難しいとは思ってください。
当クリニックでは診察させていただいて麻痺や関節の硬さがないか診察します。
希望があれば小児リハビリのセラピストによる運動発達状態の評価とお家でのアドバイスをしています。
診察で長時間観察するのは難しいのでセラピストによる観察、アドバイスはご両親の不安も少し解消になって良いと思っています。
ただし小児科の先生での発達の定期診察も必ず受けるように説明しています。
私の個人的な意見としては未歩行の原因を1歳6か月時点で医師が明確に診断することはほぼ無理だと思います。
経過を見守ることが大切だと思います。