2025年6月7日
こんにちは!
赤ちゃんの鎖骨骨折の続きです。
前回に赤ちゃんの鎖骨骨折はほとんど問題なくすぐに治ると書きました。
1つだけ注意が必要な合併症があります。
それは分娩麻痺という病気です。
分娩麻痺は赤ちゃんの分娩時の腕神経叢麻痺という病気です。
Child Nerv Syst 2022から引用
腕神経叢とは頚髄(首の神経)から腕に向かって神経伸びる部分です。
具体的には上図のように頸椎(首の骨)から鎖骨を下を通って脇までの部分を腕神経叢といって神経の枝が束になって集約しています。
脇から先はさらに枝分かれしてばらばらに走行してきます。
腕神経叢麻痺は腕神経叢が通常ケガにより損傷するために起こります。
成人では交通事故などの比較的大きなケガで起こります。
バイク事故などでよく起こります。
赤ちゃんは分娩時に非常に稀ですが起こります。
赤ちゃん1000人に1.5~2人程度の発生率と言われています。
分娩時に肩、肩甲骨がお母さんの骨盤でひっかかった状態で分娩されて首から腕の部分に牽引力が強くかかると起こります。
そのため鎖骨骨折と合併することも多いです。
それ以外には赤ちゃんが4000gを越えるような巨大児の場合などで起こりやすいです。
鎖骨骨折がある時は分娩麻痺があるかどうかチェックすることが重要です。
次回分娩麻痺の症状、治療について書きます。
次のコラムへ
「分娩麻痺 赤ちゃんの腕神経叢麻痺 どんな症状?」