2025年5月28日
こんにちは!
分娩時に意外とみられる鎖骨骨折の続きです。
前回、分娩時にお母さんの骨盤の大きさと人間の頭と肩幅の不一致などが原因で鎖骨骨折が起こると書きました。
決して分娩の手技の問題でなく、赤ちゃんの骨の柔らかさや人間の体の形のため起こります。
赤ちゃんが頭だけでて肩で引っかかっている状態は赤ちゃんにとって良くない状況なのでなんとかして出す必要があります。
赤ちゃんを無事生むために鎖骨骨折が起こるのはある意味仕方がないことだと思います。
加えて赤ちゃんの鎖骨骨折はすぐに治ります。
通常大人の人の骨折は治癒に3か月かかります。
お子さんは骨折の治癒は早く、年齢が小さいほど再生能力も高くなります。
赤ちゃんの新しい骨を作る時間は爆速で、きれいに治るのに1か月もかかりません。
しかも鎖骨は体の骨の中でも新しい骨がよくできる場所でほぼ問題なくくっつきます。
Scientific Reports.2019より引用
だいたい生後1,2週間程度で上図のような仮骨という新しい骨ができ始めます。
そのため1,2週間から1か月で鎖骨部のふくらみで骨折が発覚することも多いです。
赤ちゃんはずっと寝ていて腕も高くあげることもほぼないため痛がることも少なく気づかれないままのこともあると思います。
基本的に問題なく骨はくっついて後遺症もありません。
一旦新しい骨ができて骨が膨らんで治りますが、数か月もすれば元の太さに戻ります。
多少曲がってくっついても赤ちゃんは成長するときに自家矯正という骨をまっすぐにする力もあるため、きれいに元の形に戻ります。
もし産院や小児科で鎖骨骨折かもといわれても必要以上に心配しないでください。
ただし1点だけ鎖骨骨折で放置していはいけない合併症があります。
次回分娩麻痺について書きます。