こんにちは!
赤ちゃんの股関節脱臼の続きです。

前回に赤ちゃんの股関節脱臼疑いに経過観察が意味がないと書きました。
最近の海外の論文では股関節脱臼の治療は生後4-6か月よりも早く治療した方が成績が良いと報告されています。
股関節脱臼の治療は日本では以下が基本的に多いです
亜脱臼→リーメンビューゲル装具
脱臼→入院して牽引治療 まれにリーメンビューゲル装具

リーメンビューゲル装具(Pavlik Harness)
J Ind Orthop.2021より引用

持続牽引治療(overhead traction)
Medicine.2016より引用
股関節脱臼の治療の最大の合併症は大腿骨頭壊死症です。
赤ちゃんの骨は非常にもろく脱臼しているものを元の場所に戻すだけで骨が壊死するリスクがあります。

一度壊死(血流が途絶える)が起こると根本治療は難しく大腿骨頭が変形して大人になって関節痛がでやすくなります。
しかも大腿骨頭壊死では骨頭の変形が著しく20代から股関節痛がでて人工股関節置換術が必要になる場合もあります。
リーメンビューゲル装具は開排(股開き)姿勢をとる装具をつけることで一気に脱臼を整復する装具です。

完全脱臼においてリーメンビューゲル装具での整復は大腿骨頭壊死の発生がある程度起こってしまいます。
そのため完全脱臼では日本では入院して持続して脚を引っ張って緊張をゆるめてからゆっくりと脱臼を整復する治療がよく行われています。
牽引治療では3週間程度まず脚を引っ張って筋肉を伸ばして脱臼を整復した時に骨頭に圧がかかりにくくします。
さらに脱臼を整復する際も1週間かけて非常にゆっくりと行います。

以前から日本ではリーメンビューゲル装具も牽引治療も生後3か月以降が一般的でした。
昔からの通例です。
一方で最近の論文ではリーメンビューゲル装具は生後4-6か月で行うよりももっと早い時期に行った方が合併症が少なく治療成績が良いと報告されいます。
ヨーロッパ各国では近年では生後1,2か月で超音波治療を行って早期診断、早期治療するようになっています。
特にリーメンビューゲル装具は体が小さい時に行った方が大腿骨頭壊死のリスクが少ないことが報告されているため日本では生後3か月以降ですが、海外ではもっと早めに脱臼整復のために使われます。
次に続きます。
