コラム

2025年3月5日

小さなお子さんの原因不明の骨折! 虐待!? 医者は結構疑って診てますが・・・。その2


こんにちは!

赤ちゃんなどの小さなお子さんの原因不明の骨折では虐待の場合があることは前回書きました。

我々医師は虐待を常に疑い診察していますが、実際には虐待に相当しないケースも多いと児童相談所の方に聞いたことがあります。

そのため医師もしっかりとした診察が必要になります。

今回は医師がどのような点で虐待かどうか考えているか書きます。

まず赤ちゃんをうっかりと落としたなどで受診された場合です。

本当に落としてしまった場合もありますが、やはり虐待が隠れている場合もあります。

そのため落とした高さや骨折の部位が理屈として一致しているか、他に内出血などがないかは確認します。

落とした場合は通常は頭、鎖骨、上腕の骨の骨折が多いです。

脚が折れることはあまりありません。

頭の方が重いので普通はは頭や上半身から落ちます

赤ちゃんは受け身も取れないので手をついて着地もなく手首が折れることもほとんどありません。

 

次に原因不明で骨折している場合です。

その場合は受傷機転は不明なので、体の他の部分を確認します。

身体にあざがないかは最低限確認します。

さらに骨折が鎖骨や上腕骨が多いので、上半身の肋骨などもレントゲンで写るようにして過去の骨折がないかも確認します。

この時点で他の骨折などがあれば虐待疑いとして児童相談所の方に連絡が必要だと思います。

 

普通はあざなどもないことが多いので骨折の経過を観察する際に注意をするようにします。

定期的に指示通り通院しているかも重要な観察点です。

1週間後に受診を指示しても来なかったり、1週間後ではなく1か月後に受診するなどの場合はやはり相談が必要だと思います。

 

私のクリニックでは今まで虐待疑いに該当するケースはほんの少数でした。

ゼロではないです。

当院はお子さんの専門的な治療をしているため、ケガでも遠方から来れる方も多いです。

そのように時間をかけてお子さんのために受診される方は虐待のケースが稀なのかもしれません。

 

小さなお子さんの命を守ることも大切ですし、不必要な通報も減らせるように医療側も観察が重要だと思います!

 

 



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