コラム

2025年6月14日

分娩麻痺 赤ちゃんの腕神経叢麻痺 治療


こんにちは!

赤ちゃんの腕神経叢麻痺、分娩麻痺の続きです。

今回は治療について書きます。

分娩麻痺のある程度は自然に完全治癒します。

一部は麻痺が治らずに手術が必要です。

 

違いは神経の損傷の仕方によります。

ざくっと書くと神経が引っ張られて一時的に麻痺するタイプ引っ張られて切れてしまうタイプに分かれます。

単に神経が引っ張られただけの麻痺は通常自然に回復します。neuraparaxiaという麻痺のタイプです。

1-3か月程度で上肢の動きがよくなります。

神経が引っ張られただけで切れていない場合です。

 

一方で引っ張る力が強くて神経が一部や全部が切れてしまうと自然に麻痺は治らないです

そのため神経を修復する手術が必要です。

手術は主に以下の2つです。

1.神経を繋ぎ合わせる手術

2.他の神経をつかって治す方法

 

1は神経の損傷が部分的な場合に行います。

神経は細い繊維が束状に並んでいます。一部が損傷した場合は損傷した部分の神経を細い糸で縫い合わせて修復します。

赤ちゃんの神経は非常に細いので普通の糸よりもはるかに細い糸で縫合するため手術には顕微鏡が必要です。

 

2はさらに神経の損傷が強い場合に起こります。

損傷が強くて神経を縫合できない場合は体の他の神経を取ってきて損傷した部分に移植して神経同士をつなぎます

腓腹神経という膝下から足にある感覚神経を使うことが多いです。

赤ちゃんはしびれなどの感覚もないので腓腹神経を取ってしまっても大きな後遺症はありません。

 

さらに神経の損傷が強くて、根元から引っこ抜かれたような損傷では神経の移植ができないため肋間神経という

肋骨そばにある神経を移行します。

移行とは完全に切り取らずに根元は残して腕の方に走行を変えて損傷した腕神経叢の断端とつなぎます。

 

いずれにしても手術は細かな手術で実際にできる先生も数えるほどしかいません。

日本でも数人しかいないと思います。

まずは赤ちゃんの診断が難しいので分娩麻痺かどうか診断をできる先生に診てもら必要があります。

 

以上分娩麻痺でした。

 



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