2025年6月7日
こんにちは!
鎖骨骨折に分娩麻痺が合併することがあると書きました。
今回は分娩麻痺について書きます。
分娩麻痺は赤ちゃんが出産時の首や肩、肩甲骨部がひっかかって牽引力がかかることで腕神経叢が損傷するために起こります。
腕神経叢とは頚髄(首の神経)から腕にでる何本かの神経の束の集まりを言います。
分娩麻痺はいくつか特徴がありますが、基本的には上肢の麻痺が症状です。
Neurology and Nerubiology.2020より引用
上図は症状の代表的なイラストです。
軽症な方からAで重症なものはCとなります。
軽症なものは肩周囲の力が入らず、徐々に肘、最も受傷なものは手の力が入りません。
赤ちゃんは動かしてと言っても動かしてくれないので麻痺の診断は難しいです。
典型的なものは上図ですが、絶えず体幹も動かすので新生児期の分娩麻痺の診断は難しいです。
しかも分娩麻痺自体が珍しいので診たことがない整形外科医がほとんどだと思います。
大きく2つのタイプに分類されます。
・上位型
・全型
上位型は腕神経叢の上位部分のみの麻痺で肩や肘の動きが悪くなります。
全型は腕神経叢全体の損傷で肩、肘、手と上肢全体に麻痺が見られます。
ざっくり書くと上位型は肘を曲げる動作がすくなくて全型は肘だけでなく指を曲げる動作も見られません。
しかし生まれたての赤ちゃんの腕の動きの診断は難しいです。
私の小児整形外科の師匠である先生が日本での分娩麻痺の第1人者であり、全国から患者さんが来られていました。
私も始めは診察しても全く麻痺の区別がつかなかったです。
色々な分娩麻痺のお子さんを経験させていただきました。
次に治療について書きます。