コラム

2025年4月6日

先天性橈側列形成不全 その2 治療


こんにちは!

稀な疾患の橈側列形成不全の続きです。

 

前回疾患の概要について書きました。

肘から先の橈側(親指側)の骨や筋肉が形成不全(短かったり、なかったり)する疾患です。

上記のような分類があり軽症では橈骨(前腕の親指側の骨)が短いだけですが、重症では橈骨と親指も欠損します。

今回は治療について書きます。

橈側列形成不全では橈骨が短くなるため手首が親指側に倒れてぐらぐらします。

そのため治療の基本としては手首をしっかりとさせて手の機能を高めることです。

最も軽症なお子さんでは手首に装具としてサポーターやプラスチック装具で経過観察します。

ただし多くのお子さんでは手術が必要となります。

 

手術としては手首の部分の橈骨がないため手首がぐらぐらするので手の骨を橈骨ではなく尺骨の上に乗せ換えます

Med J Isr Repub.2018より引用

 

上の論文のAが手術前で橈骨が欠損しているため手の甲の骨が前腕の骨とずれています。

Bが手術後で手の甲の骨を尺骨にのせて鋼線で固定しています。

Cが手術してしばらくした状態で手の甲の骨が尺骨の上に乗っています。

このように手首を安定化させる手術を通常1歳過ぎに行います。

手の骨を真ん中にもっていくので中央化手術と言われています。

 

この手術後でも再度手術が必要になることが多いです。

通常前腕は2本の骨でまっすぐ伸びるのに対して、橈側列形成不全では橈骨が短いため尺骨が橈側(親指側)に成長とともに曲がってきます。

ある程度大きくなると尺骨の曲がっている部分を切ってまっすぐにする手術を追加することが多いです。

Children.2021より引用

 

正常なお子さんほど手首の動きは良くないですが、橈側列形成不全では指の動きは悪くないので手首が安定すると手の機能はかなり良くなります

 

ただし、橈側列形成不全の重度なお子さんで親指がないお子さんは手の機能が悪いため別の手術が必要となります。

次に書きます。

 



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