2021年11月6日
こんにちは!
先天性内反足の第3弾です。
再発、追加治療について書きます。
先天性内反足はPonseti法(ポンセッティ法)が普及してからメスで切る手術はほとんどなくなり
非常に経過の良い疾患となりました。
再発、追加治療も以前に比べると随分減りましたが、現在でも10人中で3-4人は追加治療が必要と報告されています。
一番多いのは前脛骨筋の外側移行術という手術を要するお子さんです。
これは再発ではなく恐らく生まれつきに足首を動かす筋肉のバランスが悪いの原因です。
足首を外側に動かす筋肉が弱いため足首を上げるときに足全体が内に向いてしまいます(Dynamic supinationと言います)。
下の図の右の様に指先が均等に上がらずに、左図のように親指の方がより上にあがることを言います。
Boehm Sら Journal of Children’s Orthopaedics 2019
通常は意識せずに足首を上にあげると全体が上がるのに、内反足のお子さんの一部は親指側があがった状態で
足首を上げます。内反した状態で足首を使ってしまいます。
この状態で大きくなると足の内反が強くなったり尖足が出やすくなります。
そのためDynamic supination(ダイナミック・サピネーション)があるお子さんは筋肉のバランスを整える手術が必要になります。
Dynamic supinationがあるかどうかは3,4歳頃にははっきりとしてきます。
座った状態で足首を上にあげてもらえば簡単にわかります。1,2歳では指示してもしてくれないのでよくわからないことがほとんどです。
通常は小学校へ行く前にはDynamic supinationのあるお子さんは手術をします。
手術は「前脛骨筋の外側移行術」という手術をします。
Kuo K ら Foot and Ankle Clinics of North America. 2015
前脛骨筋という親指側の骨についている足首をあげる筋肉を一旦足の骨から切り離して小指側の骨に穴をあけて付け直す手術です。
外側に付け直すことが筋肉が働く方向が親指側からより小指側になるので足首がまっすぐ上がるようになります。
手術時間は1時間前後で、比較的小さな手術ですが非常に効果的な手術です。
この手術をしておくことで、成長期に足が変形してくることが予防できると証明されています。
Dynamic supinationがある内反足のお子さんで迷われている方がいれば、私は強くこの手術勧めます!
現在の困っていなくても、将来変形してより大きな手術になると足の運動機能は確実に悪くなります!
以前は移行した腱を骨に穴をあけて足底に糸で結び付けて6週間ギプスしていましたが、最近は
良い固定材料も開発されたので私は3-4週間のギプス固定で歩いてもらっています。
私自身はこの手術をして術後に不都合が起きたり、再手術をした経験はありません。
手術も技術的に難しい手術ではないので安心して受けられる手術だと思います。
追加治療で次に多いのは尖足の再発です。
長くなったので次に書きます!