2021年10月23日
こんにちは!
先天性内反足の治療についてです。
治療は日本では2000年頃から劇的に変化しました。
以前は曲がっている足を何度かギプスで矯正して手術でメスを使って骨の配置を直していました。
まっすぐの足にはなりますが、小さいときに骨の周りの組織を切ると手術後にまっすぐだが硬い足になったり成長期に
大きくなりにくくなるなどの問題が多かったです。
やはり成長期前の関節はなるべくメスで切らずに治すことがその後の成長に重要です!
1950年頃にアメリカのPonseti先生(Ignacio Ponseti、ポンセッティ先生 ポンセチと呼ぶ方もいます)が今までにない方法を開発して1960年台から報告しました。
その名もPonseti法(ポンセッティ法)、・・・そのまま名前・・・。
しかしそのコンセプトはまさに天才です!!
さらに素晴らしいのは手技がそれほど難しくなく普通の医者がきれいな矯正ができる方法というのが素晴らしいです!
簡単に書くと
1.先天性内反足は足の骨の配置が崩れている
2.その配置をギプスを使って徐々に矯正する
3.矯正は距骨という足首の下の骨を中心に矯正していく
4.尖足が残る場合はアキレス腱を皮下切腱で延長する
週に1回指先を外向きに矯正してきます。矯正方法が今までちがって足の骨の構造を考えた矯正です
写真の親指が私の指です。赤ちゃんの足は小さいのでギプスは昔に使われていた石膏ギプスです。
上図の様に徐々に矯正していき、指先が足首に対して70度以上外に向けば矯正終了です。
指先が外に向いて尖足(指先が上に向かない)が残っていればアキレス腱を伸ばします。
Ponseti法では足首が10度以上上に向けばアキレス腱の処置は不要でしたが、アキレス腱を伸ばさないと
その後もやや尖足傾向が続くため、現在では多くの日本の先生は全例でアキレス腱を伸ばします。
アキレス腱を伸ばす方法は単に皮膚ごとアキレス腱を切って(皮下切腱)足首を上にむけた状態で3週間ギプス固定するだけです。
左は手術前 右は手術後 1cm以下の傷で足首が上に上がります。傷は小さいので皮膚は縫わないです
赤ちゃんは再生能力が異常に高いため単に切って伸ばした状態で固定してもきれいに再生します。
3歳ごろまではこの方法でアキレス腱は伸びた状態できれいに治ります。
ただ赤ちゃんはじっとしていないとのアキレス腱の横に神経・血管があるので全身麻酔をかけて手術する病院もあります。
私は基本は外来で行っています。
テープの麻酔をしてプチっと切っています。3か月未満の赤ちゃんは全身麻酔のリスクも比較的高いので
外来で処置をしています。所用時間は1足で着るだけなら5分もかかりません。
手術後は3週間ギプスを巻きっぱなしで、その後に初期治療は終了です。
その後は再発しないように外転装具をつけます。
3カ月はお風呂以外で、以降は寝ている間に4歳まで装着します。
治療は以上です。
色々よもやま話があるので次回に書きます!