2024年10月27日
こんにちは!
今回は比較的に珍しい疾患の先天性下腿偽関節症について書きます。
先天性脛骨偽関節症とも呼ばれます。
この疾患は小児整形外科の領域では最も治療が難しい疾患の1つです。
私個人の意見では小児整形外科医からすると最高難易度の疾患だと思います。
J Pediatr Orthop.2019より引用
非常に稀な疾患で20~25万人に1人の発生頻度と言われています。
小児整形外科医でも数人しか実際に診たことがない位の珍しい疾患です。
原因は完全には解明されていないですが、約半数の患者が神経線維腫症という病気をもともと持っています。
神経線維腫症は遺伝子疾患で皮膚の症状と神経線維腫という神経が異常増殖した腫瘍が見られる疾患です。
生まれたときは正常なことが多いですが、就学前に徐々に下腿、特に脛骨という脛の太い骨がまがっていき徐々に偽関節という状態になります。
大きな怪我をしたわけでなく徐々に脚がまがっていきます。
偽関節とは骨の連続性がなくなって本来関節でない部分で骨がグラグラする状態です。
Orthop Trauma.2011より引用
脛骨(スネの太い骨)と腓骨(スネの細い骨)ともに偽関節になることもあります。
程度は様々ですが、徐々に偽関節が進行することが多いです。
アメリカのPaley(ペリー)先生という非常に有名な整形外科医が分類です。J Pediatr Orthop.2019より引用
数字の1から徐々に重症化して4が最も重度です。
分類1のように軽度なものでは骨が曲がっているだけですが、重度になると脛骨、腓骨がくっつかなくなり偽関節になり下肢も曲がってきます。
珍しいものなので始めは普通の骨折と診断されて骨が全然治らなくて診断がつく場合があります。
神経線維腫症のお子さんではある程度医者側も意識がありますが、それ以外のお子さんでは通常非常に元気な他に病気のないお子さんに発症するため診断に時間がかかる場合があります。
次回最高難易度の疾患と言われる理由に続きます。