2024年11月10日
こんにちは!
先天性下腿偽関節症の手術の続きです。
前回に通常の偽関節手術について書きました。
先天性下腿偽関節症では通常の偽関節手術では骨がくっつかないためいろいろな工夫した手術が行われます。
比較的小さなお子さんの場合は上図のような手術が一般的に行われます。
偽関節部を徹底的に掻把(不良な組織を除去する)して骨移植して髄内釘といいう骨の中に金属棒を挿入して骨がまがってくることを予防します。
一般的な偽関節手術と違うのは偽関節部の掻把です。
先天性下腿偽関節症では破骨細胞の異常に増えいていると以前に書きました。
その大きな原因が骨膜という骨の膜の異常です。
骨膜をどの骨にもある骨の表面にある薄い膜です。
通常骨膜は新しい骨を作る細胞の源であり骨折の治癒には非常に重要です。
しかし骨膜が異常に太くなり破骨細胞で充満しているため先天性下腿偽関節症では新しい骨ができないと言われています。
そのため初回手術では異常な骨膜を徹底的に除去します。
初回手術は患者さんの身体が小さく、いろいろな金属で固定するすることが難しいため始めに行う手術以下の図のような手術が多いです。
基本的に固定と今後の曲がり、偽関節再発を少しでも予防するために骨の中に金属の棒を入れます(髄内釘)。
髄内釘を入れることで、偽関節が再発しても骨が曲がらないようにします。
一時的にイリザロフ創外固定器という機械を付けて骨をまっすぐにしてあとで髄内釘を入れることも多いです。
骨膜を切除した後に別の部位の正常な骨膜を移植したりもします。
一度の手術で骨が完全にくっつくことはほぼなく、徐々に偽関節と骨の曲がりが再発して複数回の手術を行います。
ある程度体が大きくなれば別の手術を行います。
以前から血管柄付き骨移植も行われます。
単なる骨移植ではなく骨についている細い血管を付けた状態で移植します。
血管も偽関節部の血管と縫合して移植した骨の血流が良好な状態にします。
ただしこの手術は顕微鏡で血管を結ぶ必要もあり、つなげた血管が詰まってしまうリスクもあります。
手術時間も長く、難しい手術ですが通常の骨移植よりははるかに有効的な治療です。
最近では別の手術もあります。
次に続きます。