コラム

2024年11月3日

先天性下腿偽関節症 その2 最高難易度の疾患 何が起こっている?


こんにちは!

珍しくて最高難易度の疾患の先天性下腿偽関節症の続きです。

先天性下腿偽関節症は何が起こって、なぜ最高難易度の疾患なのでしょうか?

ざくっと書くと下腿偽関節症では新しい骨ができない状態になっています。

最近の研究では下腿偽関節症の偽関節部では破骨細胞が異常に増殖していることがわかっています。

通常骨は骨芽細胞(新しい骨をつくる細胞)と破骨細胞(骨を吸収する細胞)が上手にかみ合いながら働いています。

骨はたえず新しい骨を作って古い骨を吸収して入れ替わっています。

破骨細胞だけが異常に増えると骨の吸収が異常に起こり新しい骨ができずどんどん骨が吸収、なくなっていきます

さらに骨折時には通常よりも骨芽細胞、破骨細胞が活発になります。特に骨芽細胞は骨折部に新しい骨を骨を作る必要があり非常に元気になります。

 

原因は不明ですが、下腿偽関節症では偽関節部だけに破骨細胞の異常増殖が起こっています。

偽関節にる過程で骨芽細胞が頑張って新しい骨を作っても異常に増えた破骨細胞がそれ以上に骨を吸収してしまって骨ができず、より吸収されなくなっていき偽関節がどんどん進行します。

 

病気の中で骨が弱い病気、折れやすい病気はいくらかありますが、骨ができない、くっつかない病気は少ないです。

先天性下腿偽関節症は骨ができない代表で、それ以外に以前に書いた大理石骨病もその傾向があります。

 

いくら良い手術をしても、その場所自体が骨を作れないのでは骨癒合(骨がくっつく)状態にもっていくことが非常に困難です

この骨をつくる能力がほとんどない状態になっているのが先天性下腿偽関節症が最高難易度の疾患と言われる理由です。

そうは言っても偽関節の状態では歩けないのでなんとか手術で骨をくっつけに行こうとします。

次回治療編に続きます。

 



コラム一覧へ