2022年3月27日
こんにちは!
前回の続きです。今回は第3,4腰髄 Sharrad分類 III群についてです。
Sharrad分類II群では腸腰筋という脚をけりだす(股関節を曲げる)筋肉が働きます。
III群でそれに加えて大腿四頭筋という筋肉が働きます。
大腿四頭筋は太ももの前の4つの大きな筋肉で、膝を伸ばす働きがあります。
整形外科医のための手術解剖学図説から引用
大腿四頭筋が実用性歩行に最も大切な筋肉だと思います。
腸腰筋では脚全体を前に出すことはできますが、大腿四頭筋がないと膝周りの安定性がなくて膝折れします。
さらに腸腰筋だけでは脚を前に出す力が弱くて大腿四頭筋加わるとより脚を前に出すことが可能になります。
そのため第3,4腰髄より軽い麻痺であれば屋内装具歩行または屋外歩行も可能なとなる確率が非常に高くなります。
第3腰髄と第4腰髄の大きな違いは大腿四頭筋の力の強さです。
第3腰髄では膝が伸びるが、力強くなく膝崩れする場合があります。
第4腰髄では膝がしっかりと伸びるため膝崩れもありません。
そのため第3腰髄では長下肢装具、第4腰髄では短下肢装具で歩行可能となります。
第4腰髄では実用性歩行はほぼ可能です。
第3腰髄では実用性歩行は50%程度と言われています。
長下肢装具での歩行は狭い場所で困難なのと小さいときは長下肢装具で歩いても学校に通いだすと
車椅子の使用が増えて、移動が車椅子が楽と思って歩かなくなるお子さんも多いです。
特に第3腰髄のお子さんは小さいときにしっかりと歩行訓練をして実用性歩行を目指すのが大切だと私は思います。
他の合併症では第3腰髄では股関節脱臼が生じる可能性があります。第4腰髄でも起こりえますがやや少ないと思います。
第3,4腰髄ともに足首の周りの筋肉がほとんど働いていないので生まれたときに内反足で生まれることが多いです。
成長と共に尖足も出やすいので治療が必要ですが、第1,2腰髄のお子さんに比べると立ったり、歩いたりする時間が長いので
尖足の再発率はやや低めです。
二分脊椎のお子さんで一番歩行訓練のリハビリテーションが重要なので第3,4腰髄だと思います。
足首の尖足などは適時治療して早期に立位、歩行訓練を勧めることが大切です!