2021年8月22日
こんにちは!
今回は就学前のお子さんから小学生までに発症することが多い「ペルテス病」についてです。
前に書いた「単純性股関節炎」は就学前のお子さんに多く区別が難しいことがあります。
ペルテス病 Legg-Calve-Perthes disease (レッグ・カルベ・ペルテス病)
3歳から11歳に起こり、大半は小学校へ行く前後です。
発生率は1000人のお子さんに1-8人位と珍しい病気です。男の子で何故か背の低いお子さんに多いです。
元々元気に走り回っているお子さんに多い印象です。
大腿骨頭(大腿骨の付け根の部分)が壊死(血の流れが途絶する)病気で原因不明です。
大人でも大腿骨頭壊死症という病気がありますが、異なるのは小児では壊死が治ることです。
ただし完全に治るのに約5年ほどかかる厄介な病気です。
症状ですが、初めは股関節の痛みが多いですが約半数は股関節以外の痛みを訴えます。
特に太ももの真ん中や膝周りの痛みが多いです。
前回も書いたようにお子さんの脚の痛みは痛がる場所以外もチェックが必要です。
歩けないような痛みは珍しく、運動を続けているお子さんも多いです(単純性股関節炎は歩けないほどの痛みが多いです)。
症状としては何週間(だいたい1か月以内)の痛みが出現して一旦収まります。
その後も痛みが出る、良くなるが繰り返します。
痛みが良くなるため診断が遅れることが多いです。
診断は単純レントゲンで下記の様に大腿骨頭周囲の変化が出てきます。
左が正常 右が壊死して大腿骨頭が潰れてきています
ただし初期(発症後1-2か月位?)は単純レントゲンではこのような変化がなく診断が難しいです。
MRIを撮影すると初期にも診断できます。
↑の様に大腿骨頭が壊死すると黒くなって(血が流れなくなる)診断できます
ここで問題があります!!
先ほど3歳から就学前のお子さんもよく起こる病気と書きました。
MRIは撮影に20分程度かかり、その間動いてはいけません。装置自体も大きな音がなります。
私の経験上就学前のお子さんは鎮静処置(寝かせる薬を使う)が必要です。
以前よりお子さんのMRI撮影の鎮静処置の医療事故が起こっていて気軽に撮影はできません。
ペルテス病で初期に病院、クリニックを受診して単純レントゲンで異常なしと言われて数カ月(長い人で1年してから!!!)してから診断されることがあるのは今まで書いたようなことがあるためです。
私自身の経験では発症初期に診断される方が少数で3-6カ月程度してから私のところに紹介されることが多かったです。
お子さんの股関節が原因の痛みは注意が必要です。
単純性股関節炎との鑑別も必要ですが、以下の場合はペルテス病も疑った方が良いと思います。
・1週間以上続く痛み
・一度良くなってもまた同じ側の脚を痛がる
だいたいの病院の先生は痛みが引かなかったらまた来るように言っていると思いますが、痛みが続く際は
必ずもう一度受診してレントゲンの再検査を受けるようにしてください。
成長痛と思いこんでいたご両親も多かったです。
または初期のレントゲンの変化は専門の先生しかわかりにくいので小児整形外科を専門にしている
先生の受診をするようにした方が良いと思います。
ペルテス病は必ず治る病気ですが、治り方が問題となる病気です。
そのため診断が遅れると骨が変形して後遺症が残る場合があります!
長くなったので次回はペルテス病の治療についてです。