2023年11月26日
こんにちは!
骨端線損傷の続きです。
前回骨性架橋を切除する手術について書きました。
この手術は骨が伸びなくなった部分を解除して伸びるようにする手術です。
しかし、骨性架橋であった部分は削っても正常の成長軟骨として再生しないことが多く成長能力が弱いことが多いです。
更に成長障害に気付くのが遅れてある程度変形が生じてから骨性架橋を切除しても既にある変形は改善しません。
一般的に骨端線損傷後の変形は複雑です。
短くなるうえに曲がります。曲がり方も内外側への変形に加えて捻じれの変形も起こりやすいです。
短縮が大きくないときは成長抑制という手術で対応可能です(保険の手術名は骨端軟骨発育抑制術)。
BMC Muscloskeletal Disorders 2021から引用
成長線の片側だけを金具で固定して曲がりを治すように骨を伸ばす手術です。
比較的小さな手術で体への影響も少なくて良い手術です。
ただし曲がりは治せますが、骨が短くなっているのは治せないです。
短縮が1.5~2cm程度になると骨を伸ばして変形も矯正する必要があります。
その場合は骨延長術が行われます。
通常骨延長術はまっすぐに伸ばしますが、斜めに伸ばすことで骨の曲がりも矯正できます。
骨延長は創外固定という機械を使い日常生活への支障も多い手術です。
骨延長にならないように骨端線損傷後の成長障害は早期に発見してまずは骨性架橋を切除することが重要です。
骨端線損傷後は骨折のタイプが成長障害の可能性が高いものは骨がくっついても定期的な経過観察をお勧めします。