2024年8月17日
こんにちは!
骨軟骨腫の続きです。
今回は多発性について書きます。
多発性は遺伝子異常で起こり、全身の骨に骨軟骨腫が生じます。
2,3個ではなく数十個レベルで骨軟骨腫があることが多いです。
J Muscl Surg Res. 2018より引用
上図が一般的な多発性骨軟骨腫の方の膝のレントゲンです。
膝回りだけで何個も骨軟骨腫があります。
上肢なら上腕骨、橈骨、尺骨、中手骨や手の指の骨
下肢なら大腿骨、脛骨、腓骨、中足骨
体幹は肋骨、肩甲骨、骨盤 などで見られます。
治療は基本は単発性と同じで痛みがでた部分の骨軟骨腫を切除します。
多発性は数が多く、特に膝回りでは痛みが出やすく手術になることが多いです。
多発性では痛みだけでなく上肢、下肢の変形が生じることが多くあり、そのための手術が行われます。
上肢では前腕(肘から先)、下肢では下腿(膝から先)の変形が生じることがあります。
主に尺骨、腓骨という骨にできた骨軟骨腫が本来の骨の成長を妨げ骨の伸びが悪くなるため、もう1本の骨がつられて曲がってきます。
J Hand Surg.2020より引用
手術では成長の妨げとなる腫瘍の切除と成長抑制による変形矯正や創外固定を用いた骨延長などが行われます。
基本的には腫瘍のために骨の成長が妨げられ短く曲がってしまうため創外固定の骨延長+変形矯正が多いと思います。
この場合は治療期間も数か月と時間のかかる治療となります。
多発性骨軟骨腫では腫瘍の切除の手術も複数回行ったり変形矯正したり比較的手術の回数は多くなると思います。
基本的な運動機能はみなさん良好でクラブ活動なども普通にできる方がほとんです。
手術回数は多くなりますが、運動機能は良好ですので必要以上に心配しないようにしてください!
次回は骨軟骨腫の悪性化について書きます。