2025年2月15日
こんにちは。
肘内障の続きです。
前回肘内障は転倒の際にも起こり、小さな骨折、ひびの際と肘内障の鑑別が必要な場合があると書きました。
小さいお子さんは明確に痛い場所を示すことも難しく、小さなひびの場合は肘の腫れもほとんど見られない場合があります。
骨折の可能性があるのに肘内障だと思って整復操作を行い、痛みがとれないからと長時間整復操作を試してずっと泣かせる場合があります。
そのためにはしっかりと診察をして骨折か肘内障かある程度見極める必要があります。
当院では他院でよくならないお子さんが良く来られるので実際の例を挙げます。
1.転倒して腕を痛がるという問診だけで骨折、打撲だと判断。ほとんど触診などもなくレントゲン撮影して異常なしとして診察終了。
一般的に転倒の際には肘内障より骨折が想定されます。
そのため転倒だと聞くとレントゲンだけ撮影して異状なければ帰す場合が非常に多くあります。
小さなお子さんの場合は転倒でも肘内障はよく起こります。
肘内障ではレントゲンも正常でそのまま帰しても痛みは全く取れずに、翌日以降に当院に来られるお子さんも多くいます。
その事実をあまり知らない整形外科医も残念ながら多いです。
しかもお子さんは明確に痛い場所を言えないため、子供の診察に慣れていない医師はお子さんの痛い場所を聞いて手首を言われると手首のレントゲンを撮っていることもありました。
お子さんの場合肘が悪くても手首や肩が痛いと指し示すことも多いです。
まずはしっかりと触診して本当にどこが痛いか調べる必要があります。
2.問診表で転倒とあったため、骨折か肘内障かわからないのでとりあえずレントゲンを撮る。
レントゲンで骨折がなければ肘内障だと思い整復操作をする場合が多いです。
先ほどの1の事例よりはずっとましです。
整形外科では何はともあれまずはレントゲンという医師も多いです。
レントゲンは放射線を使うため肘内障には基本的に不要な被爆となります。
骨折の可能性もあるためレントゲンをまず撮るのは問題ないですが、診察で多くの場合は骨折かどうか判別がつきます。
私も稀に判別困難でレントゲンを撮ることがあります。
診察して判別つかなくてレントゲンは良いですが、患者さんの親に聞くと触診などもなくレントゲンというケースを聞きます。
少し残念です。
次に肘内障、骨折の診察について書きます。
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「お子さんの腕が急に痛くて動かない!骨折しているのに整復操作!?診察が重要 肘内障 その6」