2022年2月11日
こんにちは!
肘内障の続きです。
肘内障は腕をひっぱるだけで簡単に生じてしまいますが、同じように簡単に元に戻すことができます。
原因が小さいお子さん(就学前)の関節、靭帯が緩いためなので脱臼を治すのも比較的簡単です。
一般的に回外という動作をすればポキッというクリック音と共に治ります。
ここで注意が必要です。
クリック音がしないお子さんがある程度存在して肘内障が治っているかわかりにくいことが時折あります。
小さなお子さんは肘内障になって痛みが強くて診察時はだいたい泣いています。
脱臼の整復は腕を動かせるようになったことで確認します。レントゲンでは確認できません。
肘内障を治して痛みがなくなっても怖がって腕を動かしてくれなくて脱臼が整復できているかわからないことがあります。
クリック音があれば間違いなく整復できていると思って良いと思います。
クリック音ないお子さんの場合は脱臼が整復できているかわかりにくいです。
実際、他の診療所で肘内障の診断で整復したと言われても痛みが続いて当院を受診されたお子さんも居られます。
私自身は整復は主に回外でなく回内を強くすることで整復することが多いです。
回内の整復は痛みを伴わないことや整復が難しいお子さんにも成功率が高いと思います。
そしてクリック音がなくて腕も動かしてくれないお子さんには超音波を使います。
超音波ではJ signという脱臼している部分がJの形で見えることが多いです。
上:整復前 下:整復後 Tokushima red hospital medical journal 甘利先生の論文から引用
脱臼が整復されると橈骨頭のJの部分がなくなります(上の図の白い部分)。
肘内障はレントゲンでは診断できませんが、超音波では可能です。整復の確認もできます。
脱臼が整復できているかよくわからない場合は超音波をお勧めします。
あと腕を引っ張って受傷したのではなく、打撲や肘の周りが腫れている場合は肘内障でない可能性が高いです。
特に腫れている場合はほぼ肘内障でないと思った方が良いです。
その際はレントゲン検査が必要です。
小さいお子さんの肘はレントゲン検査で骨折わかりにくいことも多いですが。
肘内障は一般の方でも整復はできますが、可能でしたら病院、診療所に通院してください。
整復が難しいお子さんや骨折している場合もあります。
以上です。