2023年10月1日
こんにちは!
骨が弱くなる病気、骨形成不全症III型の続きです。
前回手術では曲がった骨を骨切り(人工的に骨折させる)してまっすぐにして髄内釘で固定する手術が一般的と書きました。
手術で使われる機械は何種類かあります。
1.普通の鋼線
Kワイヤー(Kirshner wire、キルシュナーワイヤー)と呼ばれる普通のステンレス製の針金
Current Osteoprosis Reports. 2021より引用
上図 右の下の金属がKワイヤーと呼ばれる金属です。
普通のステンレス製金属で安価で剛性のある金属です。
2.チタン製の鋼線
みためは先ほどのステンレス製Kワイヤーと同じですが、チタン製の鋼線でしなりがあります。
3.ロッド、テレスコピックロッド(telescopic rod)
お子さんは一旦固定しても成長するため骨が徐々に長くなります。
鋼線は伸びないため徐々に固定位置が変わってしまいます。
そのため成長に合わせて固定する金属も伸びるように作られたのがテレスコピックロッドです。
Pediatrics.2021から引用
筒状のロッドに棒を重ねてつなぎ、骨の両端が動かない構造にして成長と共にロッドの重なっている部分が伸びていく仕組みです。
大きくはこの3つが日本で使われている固定材料だと思います。
長所・短所があります。
Kワイヤーは安価で良いですが、剛性が高いため新たに骨折した場合に折れることが多いです。
チタン製ワイヤーはしなりがあるため折れることは少ないですが、強度がやや弱いので骨折した場合にワイヤーと一緒に骨も曲がりやすいです。
テレスコピックロッドは強度も強く、成長にも対応できますが、やはり新しい骨折時に金属が折れやすいです。
折れた場合にロッドを抜去する必要がありますが、抜去が非常に煩雑で時間を要する欠点があります。
何で固定するかは病院や医師の好みもあります。
どれも長所、短所があるためどれかが最もすぐれていることはありません。
大阪府内でも病院により主にチタン製ワイヤーを選択したりテレスコピックロッドを使ったりしています。
よく医師と相談してみてください!