コラム

2021年10月3日

斜頸、特に筋性斜頸について


こんにちは!

本日は赤ちゃんの斜頸の原因、治療についてです。

斜頸とは上の写真のように首をかしげている状態を言います。

赤ちゃんから幼児の斜頸の原因は大きく3つあります

1.筋性斜頸

2.眼性斜頸

3.骨性斜頸

 

頻度も1→3の順になります。

一番多い筋性斜頸は生まれた時からあるため先天性筋性斜頸や新生児筋性斜頸などとも呼ばれています。

片側の胸鎖乳突筋という筋肉が瘢痕化(カチカチになる)するため動かなくなり首が硬い筋肉の逆に曲げられない、

硬い筋肉と同じ方向に捩ることができなくなります。

原因は不明です。お産の際の外傷説もありますが帝王切開のお子さんでも生じるので外傷だけでないと思います。

生後2週間くらいの時期に胸鎖乳突筋が一番腫れてくることが多く、その時期に気づかれることが多いです。

稀に首が座ってからや歩いてから気づかれることもありますが、見た目でわかるので診断は比較的容易です。

診断は硬い胸鎖乳突筋反対側への側屈(横に傾ける)と同側への回旋(首をねじる)が制限されていれば診断されます。

 

治療ですが、幸い90%程度のお子さんが1歳までに自然に治ります

以前はマッサージや矯正なども行われていましたが、効果ないことがわかっていますのでやめましょう

1歳までに治らなかったお子さんは自然に治る可能性が低く手術治療が行われます。

手術時期は病院によって違いますが2-3歳が多いと思います

私も1人だけ2歳で治ったお子さんが居られたため2歳以降で手術をお勧めしています。

斜頸がずっと続くと顔の筋肉の発達の左右差が生じて顔面が非対称になります(ほっぺや目の大きさが左右ちがって見えます)。

就学前に斜頸が治れば大人になったときに顔面の左右差はなくなると言われています。

そのため遅くても小学校に入る前には治療した方が良いです。

 

手術は入院、全身麻酔で硬くなった胸鎖乳突筋を切除(1-2cm程度切り取ってしまいます)します

鎖骨の上に3-5センチの小さな傷で比較的きれいに治りやすい場所なので大きくなっても目立ちにくいです。

 

手術後は病院によって異なりますが、2-3週間程度切り取った筋肉が再度くっつかないように首の装具を使用します。

胸鎖乳突筋を切り取ってしまっても、他に色々筋肉があるので首の動きに影響はありません。

そもそも斜頸を起こしている胸鎖乳突筋は何の役に立たず、悪い作用しかしないため切り取ってしまいます。

 

稀に再発で再手術することはありますが、皆さん元気で運動も普通に出来ています

90%は自然に治って、残りの10%でも小さな手術をすれば問題なく治る病気ですので、

心配しすぎないようにしてください。

 

筋性斜頸の様に生まれてすぐの赤ちゃんが病気を疑われて専門診察を受診されるまでの間でご両親が多くの

情報をインターネットで探されます。

他の病気でも「この子は普通に歩けますか?」「大きくなって普通の生活できるようになりますか?」と初診の際によく聞かれます。

受診までに非常に心配されて来られる方が多いので、今後も小児整形外科疾患の情報を中心にご紹介していきます。

 

眼性斜頸、骨性斜頸は次回書きます!

 

 

 

 

 

 

 

 



コラム一覧へ