コラム

2021年12月19日

二分脊椎について ざくっとした話


こんにちは!

今回は二分脊椎について書きます。

私は大阪大学二分脊椎フォローアップチームの一員で現在も二分脊椎の整形外科部門の外来、手術を担当しています。

二分脊椎は生まれつき背骨(胸椎、腰椎、仙椎)の一部の骨が後ろの部分が閉鎖できていない疾患です。

本来なら背骨の中にある神経が外に飛び出てしまい神経の障害を呈することが多いです。

大きく分けて開放性二分脊椎、閉鎖性二分脊椎に分けられます。

 

開放性二分脊椎では脊髄髄膜瘤、脊髄披裂が多く認められます。

背中に皮膚欠損を伴う腫瘤があることから、胎内の時点でエコーによる診断が可能です。

生まれた時から神経の障害を認めます。

 

閉鎖性二分脊椎では脂肪腫があることが多いです。

成長と共に腫瘍が原因で背中の神経(脊髄)が引っ張られて症状がでてきます(脊髄係留症候群)。

 

二分脊椎は神経の障害も様々でお子さんによって治療方法も異なります

さらに医師や施設によっても治療方法がバラバラです。

同じ程度の障害でも通う病院・診療所や訓練施設によっても治療が異なり、残念ながら???という治療も存在しています。

 

例えば胸椎レベルの神経の障害では将来的には車椅子移動がメインになります。

小さいときは長下肢装具をつけて立位を取ることは体幹を鍛えることに非常に意義があります

一方で将来歩かないから装具も不要と言ったり、逆に将来的に車椅子になる可能性を伝えずにひたすら歩く練習だけをしている施設もあります。

歩かないから足首が硬くなってきていても装具は要らないという先生もいます。

歩かないお子さんでも車椅子を含めて座位を取る時間が非常に長いため椅子や車椅子(フォットレストという場所)に両足をしっかりと安定しておける必要があります。

足が変形して座位を長時間とるとお尻に傷(褥瘡)ができます。

 

大きな病院の先生は手術の必要性ばかりを検討して普段の装具や訓練への知識が少ない傾向にあります。

クリニックや訓練施設の先生は装具や訓練ばかりで、足が変形してきても手術の説明をしなくてタイミングを逃したり、

背骨が曲がってきても放置していことが多くみられます。

 

私自身も大阪大学では主に手術治療の経験が多く、リハビリや装具の経験が少なかったです。

南大阪小児リハビリテーション病院で非常勤勤務して逆にリハビリや装具に関して色々な経験ができました。

 

私なりの私見を含んだ二分脊椎の病気、治療に関して書いていきます。

二分脊椎に関しては色々な施設の現状の治療にかなり疑問を持っています。

 

 

 



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