コラム

2021年12月30日

二分脊椎 歩行について


こんにちは!

二分脊椎の続きです。これからは細々としたテーマで書きます。

大きな内容は患者会である日本二分脊椎症協会さんなどの様々なサイトで記載がありますのでご参照ください。

当ブログでは一般的なサイトでは書いていない細かなことを私の私見をたっぷり入れて書いていきます。

 

まず一番ご両親に聞かれることが「この子は歩けますか?」です。

髄膜瘤の患者さんなどは生まれてすぐは閉鎖術やシャント作成の手術で大変でそれどころではないですが

1,2か月経過して落ち着いてきたらよく質問されます。

 

まず髄膜瘤や脂肪腫などがある脊髄のレベルが参考になります。

必ずしも一致しないですが、概ね病気がある部分と麻痺のレベルは近いです

そのため麻痺レベルとしては病気の部分が脊髄という背中の神経のどこにあるかが大きく関連します。

ざくっと胸髄、腰髄、仙髄に分かれます。

 

脚を動かす神経は脳から首、背中、腰、その下の仙骨を経て足先までつながっていて筋肉を動かします。

首は二分脊椎ではありませんので、背中(胸髄)、腰(腰髄)、仙骨(仙髄)に分かれます。

神経のだいたいの動かすレベルを書きます。

股関節を曲げる(腸腰筋) 第1腰髄

膝関節を伸ばす(大腿四頭筋) 第3,4腰髄

足関節(足首)を上にあげる(前脛骨筋) 第5腰髄

足関節(足首)を下におろす(腓腹筋) 仙髄

 

神経は脳から足に向けて下向きに流れるため例えば胸髄での麻痺であれば脚全体のの筋肉は動かないです

第4腰髄であれば股関節曲げられ、膝を伸ばせますが、足首は全く動かないです

仙髄であれば膝までは正常で足首は上にあげれますが、下にけることができないです

 

「この子歩けますか?」

独歩(ひとり歩き)を歩けると想定すると、この問いに対する私の答えは以下です(一部私見含みます)

個々では実用性歩行(実際の生活で使用している)での話です。

訓練だけ歩いて、学校など普段では車椅子は実用性歩行に該当しません。

 

胸髄、 第1,2腰髄レベル 不可能

第3,4腰髄レベル 長下肢装具をつけて可能

第5腰髄、仙髄レベル 短下肢装具をつけて可能

仙髄(第2,3)の軽い方 装具なしでも可能

 

胸髄レベルでも骨盤帯付き長下肢装具をつければ小さいときは歩行器や平行棒での歩行は可能ですが

小学校位からは実用性が乏しいため車椅子が中心になります

第3腰髄レベルでは長下肢装具をつけて実用性歩行する方が半数と報告されていて半数は車椅子になっています。

 

独歩(ひとり歩き)できるかは大腿四頭筋がしっかりと機能しているかが重要になります。

膝がしっかりと伸びるかどうかです。第3腰髄は大腿四頭筋が弱く、第4腰髄は大腿四頭筋がしっかりとしています。

そのため第3腰髄では装具での歩行が半数ですが、第4腰髄になると装具で歩行しているお子さんがほとんどです。

 

私はお子さんが赤ちゃんの時に「この子歩けますか?」と聞かれた際は大腿四頭筋がしっかりと機能しているかで判断します

正直赤ちゃんで第3腰髄、第4腰髄を区別するのは難しいこともありますが、膝が自分である程度伸ばせないと

実用性歩行は難しいと説明しています

 

今回は以上です。

 

 

 



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