コラム

2021年8月5日

こどもさんの脚の痛み 単純性股関節炎


こんにちは!

前回の続きで就学前のお子さんの脚の痛みについてです。

股関節が痛くなる代表的な病気が「単純性股関節炎」です。

元気なお子さんが突然歩けなくなったりします。

原因不明ですが、突然股関節に水が溜まります

通常1週間以内に自然によくなります

検査ではレントゲンでは異常がなくて、超音波をすると股関節に水が溜まっているのが特徴です。

関節に水が溜まるとこのエコーのHEAD(大腿骨頭)という文字の上の黒い部分が広がります。

 

ここで2点注意が必要です

お子さんの脚が痛いという訴えの際に膝の周りが痛いと言っても股関節が原因の場合があります

関連痛などともいわれますが、詳細は不明です。

私はお子さんが脚が痛いといって特定の部位を指しても全体をチェックするようにしています。

本当に関節に問題あればその関節を動かすと痛がるので、どこが原因かは診察することは難しくないと思います。

膝や足首は体表に近いので関節が腫れるとわかりやすいですが、股関節は深いので体表からわかりにくいので注意が必要です。

 

2点目は股関節に痛みがでる病気として稀ですがペルテス病があります。

ペルテス病は早期診断が重要な病気ですが、初期はレントゲンで診断できず単純性股関節炎との鑑別は難しいです。

ペルテス病は3歳くらいから12歳くらいまで発症するので就学前のお子さんの股関節痛では単純性股関節炎と区別必要となります。

初期でもMRIを撮影すればペルテス病は簡単に診断できますが、就学前のお子さんはじっとできないので

MRI撮影するのに鎮静(眠り薬か麻酔の点滴)が必要です

稀ですが、MRI撮影のための鎮静の事故も報告されていて多少のリスクがあるため大人のように気軽に撮影できません。

 

ペルテス病の詳細は次回書きますが以下2つの疾患の区別に関しての私の私見です

急に歩けなくなるくらい痛がる場合は単純性股関節炎

ペルテス病はだいたい歩けています。

本当の初期に股関節に水がたまる場合は単純性股関節炎が多い

ペルテス病でも水が溜まりますが、発症から少ししてから関節に水がたまることが多いです。

ただしペルテス病も発症から少しすると水がたまるので注意が必要です

1週間以上痛がる、1度良くなってまた同じ股関節に痛みが出る場合はペルテス病を疑う

 

これらは私の私見です

 

単純性股関節炎は普通の整形外科医が診察する機会のある病気ですがペルテス病は専門医しかほぼ診察したことがないと思います。

次回はペルテス病について書きます。

 

出典:院長の独自な経験と私見

 

 



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